テロワール
テロワールとは
テロワールという概念について
テロワール (terroir) とは、フランス語で『大地』を意味する (terre) 、さらに遡るとラテン語『領地』を意味するテリトリウム (territorium) が語源で、12世紀 ワインづくりのメッカであるフランス ブルゴーニュで既に存在していました。
日本語や英語など他言語ではあてはまる単語がない『言葉』というよりも、フランスの長い ワインづくりの歴史に根ざした、ぶどう畑を取り巻く全ての生育環境を総称する『概念』と考えられています。
テロワールを構成する要素
テロワールを構成する4つの自然的要素とは、
- 地質 - 土より下の岩石・地層の性質や種類
- 土壌 - 土。表面を覆っている鉱物、有機物、生物の混合物
- 地形 - 陽当たり、標高差、水はけ、風通りなど
- 気候 - 気温、日照時間、降水量など
土の成分や地形・気象条件など畑を取り巻く全ての自然的環境が、そこで育つワインの味を決める重要な要素である = 固有の畑で作られるワインの味は、それぞれ特有の個性を表す。という考えは、「テロワールがワインによく表れている。」と表現されます。
技術や哲学など “人的介入”の要素
生育の自然的環境の概念に加え、生産者や加工者の技術や哲学など 『人的介入』も重要な要素と考えられています。
与えられた自然条件の中で、その地の特徴を最大限に活かす為に、どの品種が最適であるかの選定から、土壌・作物の管理など栽培のノウハウに加え、生産者の努力と熱意、どのようなコンセプトで畑や作物を作っているのかという哲学など、『人』という要素は、テロワールを語る上で不可欠と言えます。
様々な自然環境を通して表現される食の個性
今日、テロワールという言葉はワイン以外にも農作物やチーズ、牡蠣などの海産物、そしてお茶の世界でもその生産地域的な味の個性を表現するために使用されることが多くなりました。例えば、日本で生産されるお茶の約8割を占めているやぶきた種。同じ村の畑であっても比較的日当たりのよい低地の畑と寒暖差の大きい高所で育つ茶葉は、環境の違いによって味に違いが生まれます。また自然栽培であるのか、与える肥料の種類や量などによってもこの環境の違いによる味の個性をテロワールで表現することができます。
テロワールとは、自然環境と人的介入、それを取り巻く歴史や風土の複雑な唯一無二の組み合わせの結果であると言えます。